乱交の生物学―精子競争と性的葛藤の進化史



乱交の生物学―精子競争と性的葛藤の進化史
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裏切りはオスの専売特許ではない

色々な動物の摩訶不思議な交尾の形が満載で非常に楽しく読める。

従来パートナーを裏切るのは雄のやる事であり、卵子と精子の製造コストの差から雌には裏切るインセンティブが低いと思われていたのが、実は雌も状況によっては裏切るメリットが大きく存在し、ほとんどの種の雌が実際に複数の雄の子供を産んでいる事実を明らかにする。

雌の裏切りが存在するのをどうやら雄は知っている(個体だけが選択され生き残る)らしく、その結果雄は雌を囲い込むのに必死になる訳だ。(精液に雌の発情をコントロール成分を含んでいる種もある)

ところが雌はパートナーである雄の目を盗んで別の雄と関係を持つものが驚く程多い。
中には巣に利用する小石と引き換えに他の雄と関係を持つ売春ペンギンの話もある。

ところで人間の女性が一生に排卵する数は最大で400個だそうだ。男性が一生に生産する精子の数は約2兆という。

もう1兆以上は無駄にしていると感慨に耽った。
もはや受動的な性ではない雌

雄も雌も、生物界では乱交である。雄が乱交である理由は比較的簡単に思いつくことができる。すなわち、よりたくさんの子孫を残すために、よりたくさんの雌と交尾する必要があるということだ。では雌はなにを得るために乱交するのか。そもそも雌が乱交でなければ、雄は交尾の前にある雌を争って戦えば良いだけである。しかし実際は、雌も乱交なのである。しかも単純に雄が乱交であるから、雌も乱交である、というわけではないらしい。雌は、自分の性と引換えに、したたかに自分にとって必要なものを得、さらに得たもののうち、もっとも使えるもの、良いものを選択するという。精子選択すら雌は行えるかもしれない。もはや雌は、受動的な性ではないといえるだろう。雌の視点から見た乱交の数多くの具体例はヒトにあてはめても直感的に理解できるものである。繁殖は両性の共同作業ではなく、戦いであるという著者の意見。本書には、タイトル以上に衝撃的で興味深い事実がつづられている。
交尾後性選択のていねいな解説書

精子競争というより交尾後の性選択に関するまじめな啓蒙書.わかっていることをきちんと記述してかつそこそこに読ませる丁寧なつくりに好感が持てる.話題が網羅されておりいろいろな適応が基本的にオスとメスのアームレースであることがよくわかる.
それにしても邦題のつけ方にはもう少し工夫が欲しかった.



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